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HUNTER×HUNTER選挙編は何巻から?あらすじと結末・パリストンの狙いまで徹底解説

小野 美月 小野 美月 • 更新: • 公開: • 読了約 12 分
目次

冨樫義博氏による大人気漫画『HUNTER×HUNTER』において、キメラ=アント編という壮大な激戦の直後に描かれた「第13代会長総選挙編(通称:選挙編)」。前会長アイザック=ネテロの散り際と遺言をきっかけに幕を開けたこの章は、単なる次期リーダー決めの政治劇にとどまらず、生死の境をさまようゴンの救出劇、ゾルディック家の恐るべき秘密、そして未知なる世界への巨大な伏線が交錯する屈指の傑作エピソードです。

高度な心理戦と策略が張り巡らされた選挙戦の裏で、キルアが家族と対峙しながら奮闘するドラマは多くの読者を惹きつけました。単行本の該当巻数やアニメの対応話数、パリストン=ヒルやジンの真の狙い、アルカ(ナニカ)の能力ルールまで、選挙編の全貌を構造的に紐解いていきます。

物語を振り返るにあたり、まず押さえておきたいのがメディアごとの収録範囲です。キメラ=アント編の過酷な戦闘が集結した直後、休む間もなく始まった選挙編は、非常に凝縮された密度で展開されました。

コミックスでは第30巻の終盤(No.319「抽選」)からスタートし、第32巻のラスト(No.339「静寂」)で完結を迎えます。実質わずか2巻強というコンパクトなボリュームでありながら、張り巡らされた情報量と伏線の密度はシリーズ屈指の濃さを誇ります。

メディア 収録・放送範囲 主な内容・ターニングポイント
原作漫画(ジャンプコミックス) 第30巻 No.319 〜 第32巻 No.339(全21話) ネテロ急逝に伴う遺言公開、十二支ん集結、アルカ脱出劇、レオリオ演説、会長決定とゴンの復活
マッドハウス版TVアニメ(第2期) 第137話「ジュウニシン×デ×ギロン」〜 第148話「コレマデ×ト×コレカラ」 選挙戦の舌戦、イルミとのカーチェイス、世界樹の上でのゴンとジンの対話、最終回

アニメ版においては、2011年から放送されたテレビアニメシリーズのクライマックスを飾るエピソードであり、第148話をもって堂々のシリーズ完結を迎えました。ゴンが父ジンと念願の対面を果たし、物語の大きな節目を描き切った重要なターニングポイントです。

【ネテロの遺言とルール】なぜ選挙は泥沼化したのか?複雑な投票システム

ハンターハンター選挙編

キメラ=アントの王メルエムとの死闘の末、自爆技「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」を用いて散った第12代会長アイザック=ネテロ。彼が残した遺言ビデオこそが、この混迷を極めた選挙戦のすべての始まりでした。

ネテロが提示した条件は極めてシンプルでありながら、極端に困難な制約が課されていました。

「ハンター全員による総選挙を行うこと」「最高責任者である次期会長が決まるまで、投票率は95%以上を維持すること」という2点です。もし投票率が95%を下回った場合、その回の選挙は無効となり、やり直しとなります。ハンター協会員には自由奔放なハンターや音信不通の行方不明者、任務中のプロが多数存在するため、全会員の95%を動員し続けること自体が至難の業でした。

この厳しい条件をクリアすべく、ネテロが実力を認めた12人の最高幹部集団「十二支ん」が招集されます。しかし、副会長であるパリストン=ヒルを失脚させたいチードルら良識派と、独自の思惑で動くパリストン、そして場をかき乱すジンの思惑が衝突し、投票ルール決定の段階から激しい心理戦が繰り広げられることになりました。

【パリストンとジンの思惑】副会長の真の目的と「楽しむ」ジンの戦略

選挙編の頭脳戦において、対極のポジションで盤面を支配していたのがパリストンとジン=フリークスです。

副会長であるパリストンは、端正な容姿と柔らかな笑顔の裏に底知れぬ悪意と狂気を秘めた怪物として描かれます。副会長就任以降、年間平均18名もの協会員が謎の失踪を遂げており、協会の専属ハンター(協専)を手中に収めるなど黒い噂が絶えませんでした。周囲は「パリストンが会長の座を狙って権謀術数を巡らせている」と警戒していましたが、彼の真の目的は権威や地位ではありませんでした。

パリストンの本質は、「他者から憎まれることに幸福を感じ、愛するものを壊したくなる」という倒錯した精神構造にあります。彼にとって選挙は勝つための政治ではなく、ネテロという偉大な遊び相手を失った後、退屈を埋めるための「最高に難解なゲーム」に過ぎませんでした。

一方、ゴンの父親であるジンは、パリストンのそうした破壊衝動とプレイスタイルを誰よりも正確に見抜いていました。ジン自身は会長職に一切の興味を持たず、「ネテロの残した遺志を尊重し、選挙というゲームを成立させること」を重視します。あえて自分が嫌われ役を買って出つつ、パリストンが簡単に勝ってゲームを終わらせないよう、巧みに投票のレギュレーションを誘導していきました。

【ゴン復活とゾルディック家】アルカの「おねだり・お願い」ルールとイルミの謀略

選挙戦の緊迫感と表裏一体で描かれたもう一つの主軸が、ネフェルピトーを倒すために過酷な「制約と誓約」を交わし、肉体と念能力を代償にミイラのような危篤状態となったゴンの救出劇です。

除念師ですら匙を投げる絶望的な状況を打破するため、キルアは実家に封印されていた家族、アルカ=ゾルディックの力を借りることを決意します。アルカの内に宿る未知の存在「ナニカ」は、どんな願いでも叶える万能の力を持っていましたが、その能力には恐るべき代償の等価交換ルールが存在しました。

ナニカの願いを叶えるプロセスは、大きく分けて以下のルールで構成されています。

  • おねだりの発生:アルカからの3つの「おねだり(要求)」を聞き届けると、ナニカに人格が交代し、1つだけ「お願い(願い事)」を叶えてくれる。
  • 等価交換の残酷さ:叶えた願いが大きければ大きいほど、次回別の人間に向けられる「おねだり」の難易度が跳ね上がる(爪をくれ、肝臓をくれ等の命に関わる要求)。
  • 失敗の代償:「おねだり」を4回連続で断ると、断った人間と、その人間が最も愛している人物、さらにはその人と長い時間を共にした人々が同時に圧死する。

長男イルミは、このルールによってゾルディック家が一族もろとも全滅するリスクを危惧し、アルカを抹殺、あるいは自らの針の能力でキルアをマインドコントロールしてナニカの力を意のままに操ろうと画策します。しかし、キルアだけが知る絶対的な秘密がありました。それは「ナニカが何かを治す(修復する)お願いをした場合、その後に残酷なおねだりは一切発生しない」という無償の愛に基づく隠しルールです。キルアはこの確信を胸にイルミの追撃を振り切り、瀕死のゴンの元へと駆けつけました。

【レオリオの魂の演説】第4回選挙の激震からチードル新会長誕生への結末

二転三転する選挙戦の中で、最大の番狂わせを起こしたのがレオリオ=パラディナイトでした。友であるゴンが生死の淵をさまよっているにもかかわらず、選挙会場で平然と構えるジンの無責任な態度に激怒したレオリオは、念能力の放出系パンチでジンを公衆の面前で殴り飛ばします。

この痛快な一撃と、仲間を一心に想う純粋な感情は、策略に疲弊していたハンター協会員たちの心を大きく揺さぶりました。候補者としての推薦を受けたレオリオは、演説の壇上で飾り気のない本音を叫びます。

「オレが会長になったら、協会をゴンのために動かす」という愚直で私欲のないレオリオの言葉は瞬く間に支持を集め、名だたるプロハンターたちを抑えて投票順位で第2位にまで急浮上。パリストンをあと一歩のところまで追い詰める事態へと発展しました。

最終投票の直前、ナニカの力によって奇跡的な完全復活を遂げたゴンが、満員の選挙会場へと姿を現します。無邪気に手を振るゴンの姿を見た瞬間、会場は歓喜に包まれ、「ゴンを助けるために会長になる」というレオリオの出馬動機は完全に解消されました。

盤面がすべて片付いたことを見届けたパリストンは、圧倒的な得票数で第13代会長に当選します。しかし、当選決定の直後、壇上で「第13代会長に就任すると同時に、辞任いたします。副会長にはチードルさんを指名します」と宣言。周囲の度肝を抜く電撃辞任を行い、第14代会長の座をチードル=ヨークシャーへと託して風のように去っていきました。すべてはパリストンが仕掛けた壮大なゲームの閉幕でした。

【暗黒大陸編への布石】世界樹での対話と物語の新たな地平

選挙編のラストは、作品全体のテーマを象徴する屈指の名シーンへと繋がっていきます。世界で一番高い木「世界樹」の頂上で、ゴンはついに探し続けていた父ジンとの対面を果たしました。

そこでジンが語ったのは、人類が居住している世界の外側に広がる無限の大陸――「暗黒大陸」の存在でした。キメラ=アントすらもその外側の世界から漂着した外来種に過ぎず、ネテロ会長がかつて足を踏み入れながらも探検を禁じた未知の領域であることが明かされます。

会長職を辞任したパリストンは、ネテロの息子を名乗るビヨンド=ネテロと共に暗黒大陸への進出を目論んで暗躍を開始。それを阻止・監視すべく、チードル率いる十二支んはジン、そしてレオリオやクラピカを新たなメンバーとして迎え入れます。選挙編は、一連の事件の決着であると同時に、物語のスケールを何倍にも拡大する壮大なプロローグとしての役割を果たしていたのです。

【ハンターハンター選挙編】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ゴンの念能力は選挙編の後どうなったのですか?
A1:ナニカの力で肉体的な損傷や命の危機からは完全に回復しましたが、ピトー戦で交わした「もう二度と念を使えなくなってもいい」という強烈な制約の影響により、オーラを視認・操作できない一般人の状態に戻っています。世界樹でジンと会話した際も、オーラ自体は出ているものの、無理に念を取り戻すのではなく自分の生き方を見つめ直すよう諭されました。

Q2:パリストンはなぜ最後に会長を辞任したのですか?
A2:パリストンの目的は会長の権力を手に入れることではなく、ネテロ亡き後の混沌とした状況下で「十二支んや協会全体を相手に知恵比べのゲームを楽しむこと」でした。選挙に勝った時点でゲームとしてはクリアとなり、次の興味である「ビヨンド=ネテロと共に暗黒大陸を目指す計画」に専念するため、あっさりとチードルに座を譲りました。

Q3:アルカの中にいる「ナニカ」の正体は何ですか?
A3:選挙編の時点ではゾルディック家に伝わる謎の存在とされていましたが、後の暗黒大陸編において、人類が暗黒大陸から持ち帰ってしまった五大厄災の一つ「欲望の共依存・ガス生命体アイ」の同種、あるいはその生き残りであることが強く示唆されています。

『HUNTER×HUNTER』選挙編は、前代未聞の緻密な頭脳バトルと、家族・友情の情動的なドラマが見事な調和を見せた珠玉のエピソードです。

ゴンとキルアという二人の主人公の旅立ちと別れを丁寧に描きながら、大人の権謀術数や未知なる世界への知的好奇心を刺激する展開は、連載から時間が経った現在でも色褪せない魅力を放ち続けています。パリストンやジンの言動に散りばめられた思惑を把握した上で読み返すと、張り巡らされた伏線の美しさに改めて気付かされるはずです。

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小野 美月
デジタルマーケター 小野 美月
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フードライター8年。レシピは再現テストを一度行い、分量と手順を読み手が再現できる形に整えてから公開しています。

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