2021年の大晦日に放送された「第72回NHK紅白歌合戦」は、番組の歴史において大きな転換点となった記念碑的な大会です。長年親しまれてきた会場であるNHKホールが改修工事中だったため、東京国際フォーラム・ホールAへと会場を移して開催されました。加えて、司会体制の刷新や、「紅組」「白組」「特別」という枠組みを超えた演出など、数々の新しい試みが導入されたことでも大きな話題を呼びました。
本稿では、当時の出演者陣の顔ぶれや注目の曲順、視聴率の動向、そして今なお語り継がれる名シーンや特別企画の全貌について、信頼できる公式データと客観的な実績に基づいて徹底的に振り返ります。
第72回NHK紅白歌合戦(2021)の司会陣と新体制の狙い

第72回NHK紅白歌合戦の司会陣は、これまでの「紅組司会」「白組司会」「総合司会」という従来の区分を撤廃し、全員が「司会」という肩書で統一されるという画期的な演出が採用されました。この体制で抜擢されたのが、俳優の大泉洋さん、俳優の川口春奈さん、そしてNHKの和久田麻由子アナウンサーの3人です。
大泉洋さんは、前年の第71回に続く白組司会としての安定感と、バラエティ力抜群のトークで番組全体をリードしました。一方、NHKのドラマや映画で圧倒的な存在感を放つ川口春奈さんは、これが紅白初司会。生放送という緊張感の中でも終始リラックスした笑顔と落ち着いた佇まいで視聴者を魅了し、新鮮な風を吹き込みました。和久田アナウンサーの堅実な進行が全体を引き締め、3人の絶妙なコンビネーションが番組を成功へと導いたと各メディアや関係者の間でも高く評価されました。
2021年の出演者と注目された曲目一覧・曲順のハイライト
2021年の出場歌手は、音楽シーンの多様性を反映した豪華な顔ぶれとなりました。初出場を果たしたアーティストには、若者を中心に爆発的な支持を集める優里さん、Awesome City Club、BiSH、布袋寅泰さん、DISH//などが名を連ね、新鮮なステージを繰り広げました。
また、番組の後半戦に向けた曲順や、各アーティストの代表曲の配置は視聴率のピークを生み出す重要な要素となりました。以下に、2021年の主な出演者と注目のパフォーマンスに関する動向を整理します。
| 区分・アーティスト名 | 主な歌唱曲・見どころ | 備考・トピックス |
|---|---|---|
| Awesome City Club | 勿忘 | 映画のインスパイアソングとして大ヒットを記録し初出場 |
| DISH// | 猫 | 北村匠海の圧倒的な歌唱力と心に響くステージングが話題に |
| 松田聖子 | 瞳はダイアモンド | 特別企画としての出場。心に響く歌声を披露 |
| 布袋寅泰 | スリル | アーティスト活動40周年を記念した強力なギターパフォーマンス |
| 福山雅治 | 道標 | 白組のトリを飾り、重厚感のある歌声で大晦日を締めくくり |
このように、ベテランから新進気鋭のアーティストまでがそれぞれの個性を発揮し、世代を超えて楽しめるプログラム構成が徹底されていました。
視聴率の動向とメディア環境の変化
大晦日の国民的番組として長年高い関心を集めてきた紅白歌合戦ですが、第72回における視聴率は、メディア環境の多様化やライフスタイルの変化を反映した結果となりました。
関東地区における第72回の世帯視聴率は、前半(19:20〜)が31.5%、後半(21:00〜)が34.3%を記録しました。この数値は、前年と比較して低下したものの、同時間帯の民放番組を大きく引き離して圧倒的なシェアを維持しました。また、近年はリアルタイムのテレビ放送だけでなく、NHKプラスの見逃し配信や、SNS上でのリアルタイム実況、パフォーマンスの切り抜き動画への期待など、視聴スタイルの複線化が進んでいます。2021年の放送も、Twitter(現X)をはじめとするSNSで出演者の衣装や演出に関するハッシュタグがトレンド上位を独占するなど、デジタル空間との強力な連動性を示しました。
話題となった特別企画とステージ演出の裏側
第72回を語る上で欠かせないのが、東京国際フォーラムというこれまでにない特殊な空間を最大限に活かしたダイナミックな演出です。NHKホールとは異なる構造のホールでありながら、音響・照明・映像技術を駆使し、テレビ画面を通して圧倒的な臨場感を伝える工夫が凝らされていました。
特に注目を集めたのは、アニメやポップカルチャーをフィーチャーした特別企画です。『エヴァンゲリオン』シリーズの関連企画や、松平健さんによる「マツケンサンバII」の登場は、会場の空気を一変させ、老若男女問わず大きな歓声と反響を呼びました。「マツケンサンバII」のサプライズ出演は、SNSを中心に瞬く間に拡散され、2021年を締めくくる最高のエンターテインメントとして多くの視聴者の記憶に刻まれました。
【紅白歌合戦 2021】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:第72回NHK紅白歌合戦の会場が東京国際フォーラムになった理由は何ですか?
A1:NHKホールの耐震改修および大規模改修工事が実施されていたため、同ホールの利用が一時的にできなくなり、代替会場として東京都千代田区の東京国際フォーラム・ホールAが選ばれました。
Q2:司会者の選考においてこれまでの体制と何が違いましたか?
A2:従来存在していた「紅組司会」「白組司会」という区別がなくなり、全員が「司会」という肩書で統一されました。ジェンダーレスや多様性を意識したフラットな進行体制が大きな特徴です。
Q3:当時の見逃し配信やアーカイブは現在視聴できますか?
A3:NHKの公式配信サービスにおける紅白歌合戦の見逃し配信は期間限定で行われるため、放送終了後から一定期間を過ぎた現在は通常のプラットフォームでは原則として視聴できません。
第72回NHK紅白歌合戦は、会場の変更や司会体制の刷新といった物理的・制度的な制約や変化を乗り越え、新しい時代のテレビエンターテインメントの形を提示した大会となりました。従来の伝統を守りつつも、多様なジャンルのアーティストの起用や、デジタル空間を意識した演出を取り入れることで、幅広い世代の心をつかみました。
2021年の大晦日を彩った数々の名シーンや楽曲の数々は、日本の年末の風物詩として今なお色褪せることなく、音楽史における重要な一ページとして語り継がれています。