2026年現在、難病指定されている脳血管障害の一つ「もやもや病」について、その病名や実態に関心を寄せる人が増えています。この疾患は、脳の血管が徐々に細くなり、その代償として異常な細い血管(もやもや血管)が網の目のように形成される原因不明の病です。芸能人や著名人が公の場で闘病の事実を公表したことで、一般への認知度が大きく高まりました。
本記事では、もやもや病を公表した著名人の情報や、疾患特有の症状、原因、そして外科的手術を含む治療の経緯について、専門的な観点から分かりやすく解説します。
もやもや病とは何か?難病指定される脳血管疾患の基礎知識

もやもや病は、脳に血液を供給する主要な血管である内頸動脈の終わり部分が、原因不明のまま徐々に狭くなり、最終的に詰まってしまう疾患です。血流が不足すると脳が酸欠状態に陥るため、その不足を補おうとして脳の底面に細い血管が数多く新しく作られます。
脳血管造影検査などで、この新しくできた細い血管が集まった様子が、まるで煙が「もやもや」と立ち上っているように見えることからこの名前が付けられました。厚生労働省から難病(指定難病)に指定されており、小児期と30〜40代の成人期の2つのピークに発症しやすい特徴を持っています。
もやもや病を公表した著名人・徳永英明氏の歩みと影響
もやもや病を社会に広く知らしめた代表的な著名人として、シンガーソングライターの徳永英明氏が挙げられます。徳永氏は、2001年に突如として原因不明の体調不良や頭痛に悩まされ、精密検査の結果「もやもや病」であると診断されました。
当時の報道や公式発表によると、多忙な音楽活動の裏で脳の血管障害という深刻な病と向き合っていたことが明かされ、ファンや世間に大きな衝撃を与えました。その後、手術や治療を経て音楽活動に復帰を果たし、現在に至るまで第一線で歌い続けています。彼の闘病と活動継続の姿は、同じ病を抱える患者やその家族にとって大きな希望の光となっています。
もやもや病の主な症状と発症メカニズム
もやもや病の症状は、年齢層や脳の血流不足の程度によって異なります。小児の場合は、泣いたり、熱いラーメンをフーフーと息を吹きかけて冷ますときなど、過呼吸(息を激しく吐くこと)を引き起こす行動がきっかけとなって一過性の脳虚血発作(手足の脱力、麻痺、ろれつが回らないなど)を起こすことが多く見られます。
一方、成人の場合は脳出血やくも膜下出血などの出血発作で発症するケースが少なくありません。これは、新しくできた「もやもや血管」の壁がもろいため、血圧の上昇などに耐えきれず破綻してしまうことが原因です。また、頭痛やめまい、認知機能の低下などが現れることもあります。
| 年代別の特徴 | 主な発症のきっかけ・症状 | 病態の傾向 |
|---|---|---|
| 小児期(10歳前後) | 過呼吸、泣く、激しい運動など(脳虚血発作) | 手足の脱力、一過性の麻痺、言語障害が出やすい |
| 成人期(30〜40代) | 高血圧、疲労、脳出血やくも膜下出血など | 出血発作や激しい頭痛、めまいが起こりやすい |
手術・治療の経緯と現代の医療アプローチ
もやもや病の治療には、薬物療法と外科的手術(血行再建術)があります。薬物療法では抗血小板薬などが用いられることもありますが、脳梗塞や脳出血の本格的な予防、および脳血流を改善させるためには手術療法が選択されるのが一般的です。
外科的手術の代表例が「血行再建術」であり、頭皮の血管(浅側頭動脈など)を脳の表面の血管に直接縫合する「直接血行再建術(STA-MCA吻合術)」や、頭皮の組織を脳の表面に貼付して自然に新しい血管が伸びるのを促す「間接血行再建術」が行われます。これらの手術技術の向上により、術後の回復や長期的な予後が大きく改善されています。
専門的視点から見るメディア報道と社会への影響
著名人による病気の公表は、単なるゴシップではなく、医療情報の啓発や早期受診の促進において重要な役割を果たしています。もやもや病のような指定難病は、初期症状が日常的な頭痛やめまいと酷似しているため、見逃されやすいという課題があります。
メディアや著名人が自身の闘病経験や治療の選択プロセスをオープンに語ることで、視聴者や読者が自身の身体の異変に気づき、専門医(脳神経外科など)を受診するきっかけを生み出しています。正確な医学的知識と個人の闘病ストーリーが適切に結びつくことで、社会全体の健康リテラシー向上に寄与しているのです。
【もやもや病芸能人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:もやもや病は遺伝する病気ですか?
A1:全体の1割程度に家族内発症(遺伝的要因)が認められますが、多くは遺伝形式がはっきりしない散発例です。ただし、家族歴がある場合は発症リスクがやや高まるとされています。
Q2:もやもや病の診断にはどのような検査が必要ですか?
A2:MRI検査やMRA検査で脳の主要血管の狭窄を確認し、さらに脳血管造影検査(カテーテル検査)や脳血流SPECT検査などを用いて詳細な血流状態や「もやもや血管」の有無を診断します。
Q3:手術を受ければ完全に完治しますか?
A3:血行再建術によって脳の血流が改善され、新たな発作や出血のリスクを大幅に下げることができます。ただし、術後も定期的な経過観察と生活習慣の管理が必要です。
もやもや病は、脳血管の異常という深刻な背景を持つ難病ですが、医療技術の進歩や早期発見体制の整備、そして著名人による公表を通じた認知拡大により、適切な治療を受けながら社会生活を送る人々が増えています。
ネット上の噂や断片的な情報に惑わされることなく、信頼できる医療機関や公式な情報源に基づいた正しい知識を持つことが、自分自身や大切な人の健康を守るための最も確実な判断基準となります。