大相撲の土俵において、力士の取組前に四股名を呼び上げ、土俵の整備や進行管理を担う「呼び出し(よびだし)」。華やかな力士たちの陰で、なくてはならない存在として長年相撲界を支えていますが、その給与体系や階級の仕組み、年収の実態については一般にはあまり知られていません。
本記事では、日本相撲協会における呼び出しの給料、階級一覧、仕事内容、さらには行司や力士との違いに至るまで、2026年現在の最新の仕組みに基づいて徹底的に解説します。
大相撲の「呼び出し」とは?仕事内容と土俵を支える役割

呼び出しは、日本相撲協会に所属する相撲の専門職(協会員)の一つです。本場所の土俵上で力士の名前を独特の節回しで呼び上げる(呼出)だけでなく、取組の進行にかかわる極めて重要な裏方業務を担っています。
具体的な仕事内容は多岐にわたり、本場所が始まる前の土俵作り(土俵築き)をはじめ、取組ごとの土俵の掃き清め、水桶や力水の準備、行司の補佐、さらには懸賞旗の掲出や勝負結果の表示など、場所中の円滑な進行をすべてコントロールしています。毎日の稽古のサポートも含め、力士が最高のパフォーマンスを発揮できるように縁の下の力持ちとして奮闘しているのが特徴です。
呼び出しの階級制度と給与・待遇の仕組み
日本相撲協会における呼び出しは、行司と同様に身分や階級(番付)が厳格に定められています。入門時は「前頭」ならぬ「呼出見習い」からスタートし、経験と実力、そして相撲協会での在籍年数に応じて上の階級へと昇進していきます。
階級は下から順に、呼出見習い、序二段呼出、三段目呼出、幕下呼出、十両呼出、幕内呼出、そして最高峰である「立呼出(たてよびだし)」となっています。立呼出は原則として1名(または空位の場合あり)しか認められていない極めて狭き門であり、土俵の最深部で結びの一番を呼び上げる名誉あるポジションです。
給与は月給制を基本とし、本場所手当や職務手当などの各種手当が加算される仕組みです。上位の階級に昇格するほど基本給や手当が上がっていくため、年収もそれに比例して増加します。また、日本相撲協会の職員としての身分が保障されているため、社会保険や福利厚生、退職金制度も完備されています。
行司・力士の給与体系との違い
大相撲の土俵を構成する三役として「力士」「行司」「呼び出し」が挙げられますが、それぞれの給与体系や身分には明確な違いがあります。
力士は個人事業主としての側面が強く、幕内力士(関取)以上になると高額な月給や場所ごとの懸賞金、褒賞金が支給される一方、幕下以下の力士(養成員)は原則として給与が出ず、場所手当や支度金が中心となる実力主義・成果報酬的な側面が強いのが特徴です。
これに対し、行司や呼び出しは入門時から日本相撲協会の給与体系に組み込まれており、毎月の安定した月給が支給されるサラリーマン(職員)に近い雇用形態となっています。ただし、行司が勝負判定の責任を負う「裁き」を専門とするのに対し、呼び出しは土俵の設営や進行管理を担うなど、求められるスキルやキャリアパスが異なります。
【比較表】呼び出しの階級一覧と待遇の目安
ここでは、呼び出しの主な階級とそれぞれの特徴、立場を整理して一覧化します。
| 階級名 | 主な役割・特徴 | 待遇・ポジションの傾向 |
|---|---|---|
| 立呼出 | 最高位の呼び出し。結びの一番など最高潮の取組を担当。 | 協会内でのキャリアの頂点であり、最も高い給与水準と社会的信用を持つ。 |
| 幕内呼出 | 幕内上位や中盤の取組を主に担当。テレビ中継への露出も多い。 | 中堅〜ベテラン層。安定した月給と各種手当が支給される。 |
| 十両呼出 | 十両の取組や幕下の主要な取組を担当。 | 実力が認められ、上位への昇進を目指す重要なステージ。 |
| 幕下・三段目・序二段呼出 | 若手〜中堅層。土俵作りの重労働や雑務を精力的にこなす。 | 基本給与をベースに、経験を積みながら昇格を待つ期間。 |
| 呼出見習い | 入門直後の新人。発声練習や土俵作りの基礎を学ぶ。 | 見習い期間としての手当・給与が支給される。 |
呼び出しの年収と退職金・福利厚生の実態
気になる呼び出しの具体的な年収についてですが、日本相撲協会の公式な給与テーブルは一般企業のように詳細には公表されていません。しかし、報道各社の取材や関係者の証言によると、下位の階級では一般的な会社員の初任給や若手社員と同等水準からスタートし、階級が上がるにつれて順調にステップアップしていきます。
特に、幕内呼出やさらに上位の階級に昇格したベテランともなると、長年の勤続年数や熟練の技が評価され、安定した生活を送るに十分な年収水準に達します。また、定年まで勤め上げた場合には、日本相撲協会の規定に基づいたまとまった金額の退職金が支給されるため、長期的なキャリアとしても非常に安定した職業と言えます。
【相撲呼び出し給料】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:呼び出しになるにはどうすればいいですか?
A1:日本相撲協会が随時募集・受け入れている採用試験や基準を満たし、相撲部屋に入門(あるいは協会直属)して修行を積む必要があります。声の質や通りの良さ、体力、そして相撲界への適性が厳しく見られます。
Q2:呼び出しの給料は力士のように勝敗で変動しますか?
A2:力士のような懸賞金や星取によるボーナス変動はありません。基本的には階級(番付)と勤続年数に基づいた月給・手当が支給されるため、比較的安定した収入体系となっています。
Q3:立呼出は何人でもなれるのですか?
A3:立呼出は原則として定員が限られており、長年の実績と高い技量を認められた極めて限られた人のみが昇進できる名誉あるポストです。
大相撲の呼び出しは、単に大きな声を出すだけでなく、土俵の安全と円滑な興行を裏から支える極めて専門性の高い職業です。行司や力士とは異なる、日本相撲協会の安定した給与体系や階級制度のもとで、長年の努力がしっかりと評価される仕組みが整っています。
華やかな本場所の裏側で、土俵の隅々にまで気を配る呼び出したちの給料や待遇の背景には、伝統を守り続けるプロフェッショナルとしての確かな価値があると言えます。